~『空き家問題―1000万戸の衝撃』~解決策編~

前回に続き、『空き家問題―1000万戸の衝撃』 (牧野知弘著・祥伝社)のご紹介です。

空き家の問題は、前回ご紹介したように実に様々な背景が 絡み合っています。

今回は解決策を考えたいと思います。

本文では、現在行われている自治体の対策では

大量に存在する空き家予備軍には対応しきれないとしています。

売れない・貸せないものではなく、流通できるものにする、

つまり不動産価値の創出という観点からとらえる必要があるとのこと。

具体的な策としてあげられた提案を一部ご紹介します。

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◆必要とされている施設への転用◆

介護施設などへ改築。オフィスや学校などが転用しやすい。

◆市街地再開発手法の応用◆

お年寄りの一人暮らしが多いエリアで、現在居住中の家も対象にして

高齢者専用住宅などを建設する再開発を行う。

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などなど。

一方で、富山市などで試みられている『コンパクトシティ構想』を紹介しています。

市中心部の利便性を向上させ、郊外に広がった住民を中心部に引き戻そうとする計画です。

『限界集落』といった言葉も生まれているように、

過疎化や高齢化が深刻になっている地域はたくさんあります。

前回お話したとおり自治体に消滅の危機がある中で、

道路や上下水道などのインフラを過疎地域まで整備し続けるのは

不可能といってもいいかもしれません。

コンパクトシティ構想は、住民それぞれが少しずつ身を切る形ではありますが

現実的な計画といえるでしょう。

この発想をもとに、著者は「廃県置州」という大胆な持論を展開しています。

北海道を除いた全国をいくつかの州に分け、国を小さな政府にする代わりに

州の独立性を図る道州制を導入するという考えです。

現制度では、結論が最大公約数的なものになってしまい効果が薄い、

だから思い切って枠組みを取り払ってから改革を進めるべきだ、と。

例えば市街地に住宅地を集約し郊外は農地とする、

などといった、効率の良い都市計画が新たに作成しやすくなります。

現実にはかなり高い壁を超える必要があると思いますが、

この位の改革でもしないと解決できない大きな問題なのかもしれません。

著者の言われている通り、良い方向に向かうためには大きな痛みが伴うでしょうし、

個々の事情は様々でマニュアルで対応できるものではないため

莫大なエネルギーが必要になることも明らかです。

それでも実行するしかないという著者の想いが感じられた一冊でした。